羅針盤 今ここを育む時間
- atelier tete_tonttu

- 7月24日
- 読了時間: 2分

自分の歩幅を信じて、持ち前の力を発揮しながら、自分の未来を歩んでいける人になってほしい――
平凡な願いですが、母親としての子どもへの願いと、私自身の育児目標です。
そして、この思いが、私がシュタイナーの教育観に惹かれ続ける、理由のひとつになっています。
小川の流れに耳をすまし、水面の動きに目が躍るとき。
ひまわりの種のならびを指で追いかけるとき。
雪の結晶に目をこらし、息をのむときーー
このようなちょっとしたひと時に、こころを奪われたことはありませんか。
静かだけれど「今ここ」に集中し、思わぬ発見に目を輝かせる。
その姿にはいきいきとした輝きが宿り、次への一歩に勇気の光を満たしてくれる。
私は、こうした「今ここ」の時間の積み重ねが、子ども一人ひとりの発達段階を丁寧に生きることにつながり、やがては自ら次の一歩を踏み出すための、大きな力になるのではないかと感じています。
教室では手を動かすだけでなく、身体も動かしながら、一人ひとりの今に向き合い、共に学び、感じ、それぞれに深め合える時間を大切にしたいと思っています。
手しごとや芸術には、手を動かすことで出会う感覚や気づき、そして、目には見えない内面の感情や思いに触れる、豊かな時間の重なりがあります。
ときには動きが止まり、首をかしげて考え込んでしまうこともあります。
しかしその沈黙の中で、感じたこと、考えたことに耳をかたむける時間は、手が再び動き始めるための力の芽になりますね。
試しては工夫を重ね、自分なりのやり方にたどり着いたときの手ごたえと喜び。
それはやがて、自分の考えをたずさえて行動するための未来を照らす自信と勇気へとつながっていきます。
この光のような力の根っこが、のびのびと広がっていきますように。
そしてこの内に宿る光を、育てていく教室でありたいと思っています。
子どもたち自らが足元を照らしだす、明るくあたたかな羅針盤となっていきますように。
羅針盤 今ここを育む時間


